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最近では、漫画『ちはやふる』のヒットのおかげで、百人一首を用いたかるたに大きな注目が集まっています。こうした百人一首の中で最も有名なのが、今回ご紹介する小倉百人一首です。

今回は、小倉百人一首の成立の経緯や作者の藤原定家がどんな人だったのか、そして選ばれた歌が掲載されている和歌集についてご紹介します。

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小倉百人一首の成立はどのようなものだったのか?


小倉百人一首の成立は、鎌倉幕府の宇都宮頼綱(うつのみやよりつな)という御家人が、自分の別荘である小倉山荘の襖の装飾を、平安時代きっての歌人、藤原定家に依頼した事に遡ります。この宇都宮頼綱の要請に対して、定家は飛鳥時代から鎌倉時代初期までの歌人100人を選び、それぞれの和歌を装飾用の色紙に書いたのです。

そして、この定家による和歌のチョイスが、小倉山で歌を選んだという事が由来となって、後に「小倉百人一首」と呼ばれるようになりました。その後、この小倉百人一首をまねして数々の百人一首が成立しています。

室町時代に入ると、小倉百人一首は歌道の入門用として一般の人々にも広まり始めました。この頃から、武士や貴族の間で和歌をかるたのようにして遊ぶようになったと言われています。

また、江戸時代に入り木版画の技術が発達すると、南蛮から伝わった「かるた」あそびと合わせて、庶民も百人一首をかるたとして遊ぶようになりました。

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小倉百人一首の作者、藤原定家ってどんな人?


それでは、小倉百人一首の作者である藤原定家とはどのような人物だったのでしょうか。

定家は1162年に、平安時代の歌人、藤原俊成の次男として生まれ、幼少期から和歌の訓練を受けて育ちました。青年の時期に源平合戦を経験しますが、意に会することなく創作に没頭します。

歌人というと穏やかなイメージがありますが、定家は気性が激しかったらしく、若い頃に自分を侮辱した公家を殴り、謹慎処分を受けた事もありました。また、和歌に関しては特に妥協を許さない性格で、自身のパトロンでもある後鳥羽上皇と衝突して、再び謹慎処分を受けたりもしています。

定家の歌風は、非常に技巧的で難解であると言われています。歌道の歴史の中でも、最も高く評価されている歌人の一人でもある定家が晩年に自らの和歌の知識を振り絞って選び抜いたものが、小倉百人一首と言えるでしょう。

どのような和歌集が小倉百人一首の歌として選ばれているの?


ところで、藤原定家はどのような和歌集から小倉百人一首の歌を選んだのでしょうか。


以下で小倉百人一首の和歌集と、それぞれの代表的な歌人をまとめてみました。

・古今和歌集:24首(阿倍仲麻呂、小野小町、紀貫之など)
・後撰和歌集:6首(天智天皇、蝉丸、陽成院など)
・拾遺和歌集:11首(柿本人麻呂、元良親王、右大将道綱母など)
・後拾遺和歌集:14首(和泉式部、大弐三位、清少納言など)
・金葉和歌集:5首(小式部内侍、先大僧正行尊など)
・詞花和歌集:5首(伊勢大輔、崇徳院など)
・千載和歌集:15首(権中納言定頼、待賢門院堀河、西行法師など)
・新古今和歌集:14首(持統天皇、中納言家持、紫式部など)
・新勅撰和歌集:4首(鎌倉右大臣、権中納言定家など)
・続後撰和歌集:2首(後鳥羽院、順徳院)

※参照:蝉丸ってどんな人?百人一首の和歌や坊主めくりの扱いは?


これを見ると、古今和歌集の和歌が4分の1になっている事が分かりますね。ちなみに藤原定家は『定家八代抄』という優れた歌を集めた「秀歌集」というジャンルの作品の著者でもあるのですが、この作品でも古今和歌集の歌が多く掲載されています。

この古今和歌集ですが、平安時代前期に初の勅撰和歌集として編集された和歌集で、わが国の和歌文化の確立に大きく貢献したと言われています。
定家は古今和歌集を好意的に評価していたのでしょうね。

この記事のまとめ


小倉百人一首の成立や作者の藤原定家、歌が掲載されている和歌集についてご紹介しました。
この作品には、わが国の和歌の文化が深く刻まれていると言っても過言ではないでしょう。

最後に、ここまでの説明を以下でまとめてみました。

・小倉百人一首の成立は、小倉山にある別荘の襖の装飾に遡る
・作者は平安時代の代表的な歌人である藤原定家
・かるたになったのは戦国時代以後で、江戸時代では庶民にも親しまれた
・小倉百人一首は全て勅撰和歌集から取られており、古今和歌集が最も多い


小倉百人一首は、和歌の入門としても非常に最適です。
まずは、かるたを通じて覚えるもよし、それぞれの歌の意味や作者について調べるもよし。
この作品を通して、我が国の文化に親しんでみてはいかがでしょうか。

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